コロナ禍で外出が控えられ、体を動かす機会が減ったことで、認知機能の低下への不安が広がっています。脳と深い関係がある「足」を鍛えて認知機能をアップしましょう。
■コロナ禍で認知機能が低下
広島大学が介護・医療施設を対象に行った調査では、コロナ禍に伴い、38・5%の施設が「認知症の状態に影響が生じた」と回答しました。具体的な影響としては、認知機能の低下やうつ症状などの出現・悪化などが多く挙げられました。
また、アクサ生命が20代~60代を対象に行った調査では、コロナ禍で「イライラしやすくなった/怒りっぽくなった」「無気力になった」「今日の日付が出てこない」という人は約3割にのぼりました。こうした症状は認知機能の低下と関連があるとされています。
さらに、東京大学の高齢社会総合研究機構の研究では、コロナ禍で体幹の筋肉量が約10%低下しているとのデータもあります。
■片足で立つ「ツルのポーズ」
そんな昨今、脳と体を元気にするためにオススメなのが、ブレイン体操「ツルのポーズ」。体の前で両手をあわせながら、片足で立つポーズです。バランスが崩れないように踏ん張ることで、脚部や体幹が鍛えられます。
地面についていない方の足は、膝を曲げて上に引き上げます。足裏の高さが、支えている足の膝の高さくらいまで上がると理想的ですが、無理をしないでご自分に合わせて行ってください。
■脳を刺激
足を鍛えると、脳に刺激が加わります。脳内の血流が活発になり、脳内ネットワークが強化されます。事前にふくらはぎをほぐすストレッチなどを行っておけば、さらに高い効果が期待できます。
■「前頭前野」の活性化
大脳のうち、おでこの後ろにある前頭葉の「前頭前野」と呼ばれる場所は「人間ならではの脳」といわれ、行動や意思の決定、怒りや悲しみの制御のほかに、笑いややる気といった感情を出す部分でもあります。学習に大事な記憶についても、「記憶しろ」という命令を出すのはここです。
学力の土台となる基礎・基本の知恵や知識は、側頭葉や頭頂葉、後頭葉に蓄えられますが、そうした知恵や知識をどう使うかという指示を出すのも前頭前野です。認知機能とも深い関係があります。
「ツルのポーズ」で下半身を強くすれば、前頭前野などの脳の大事な領域を活性化することができます。マイペースで続けてみましょう。