地球市民運動メッセージ

私は、人が抱く夢の力を信じています。美しく偉大な夢は、人を美しく偉大にします。
夢は彷徨を冒険にし、無気力を情熱に変え、バラバラの心を一つに集めます。

しかし、今私たちが暮らしている社会では、夢を思い描くことが難しくなってきています。社会は混乱に満ちています。経済的な紛争、ますます深刻になる環境問題などで対立と不安は深まり、新たなビジョンや希望が見いだしにくくなっているのです。

今、真のリーダーの役割をするモデル国家は見あたりません。人類がどう進むべきかを国の運営や国民の暮らしで見せ、地球と人類全体の平和や幸せを自分のことのように悩む国がないのです。他国より少しでも良い暮らしをするための駆け引きや争いに明け暮れるばかりで、人類のための大きな夢を描く国はありません。

新たな希望をどこに見いだせるでしょうか?
誰が人類に新たなビジョンを提示してくれるのでしょうか?

今、人類に切実に必要なその責任と役割を私たちがしよう、あなたと私を含めた地球市民で一緒にやっていこうと、私は提案したいと思います。それが私たちを生かす早道でもあると信じています。

本当に人類のモデルとなるためには、哲学とビジョンが必要です。それを具体的な人生の姿として見せ、地球と人類に実質的に貢献するのです。

人には、自分の幸せだけを願うのではなく、皆が幸せになるように手伝いたいという思いがあります。それが「弘益」の心です。弘益の精神を回復することが人類のモデルになる最も早い方法です。自分は一国の国民だという認識ではなく、地球の市民だという思いで真の地球愛・人類愛を実践する地球市民運動を繰り広げていくのです。

地球市民運動は、すべての人の中にある弘益の精神を目覚めさせる運動です。自然治癒力を回復して健康と幸せを自分で作っていこう、夢を見つけて自分の価値を実現していこう、そして健康で持続可能な地球を作っていこうという運動です。このような運動が、個人、家庭、学校、職場、社会全域で起こる必要があります。地球市民精神を持つ人が2020年までに1億になれば、岐路に立つ人類文明を破壊ではなく希望に転換できるのです。

私は若い頃、彷徨っていましたが35年前に人生の価値を見いだしました。そのとき、私の真の価値は弘益人間の人生を生きることにあると気づき、どうすれば弘益人間の精神を多くの人に伝えられるか悩みました。最も早い道は教育であり、教育をするためには学校が必要だと思いましたが、当時の私には何の基盤もありませんでした。

だから、私は朝早く公園に行って無料トレーニング指導を始めました。当時のトレーニング指導が科学化・学問化の過程を経て脳教育に発展し、地球市民リーダーを養成するための大学と大学院が設立されました。約20年前には弘益精神を世界と共有するためにアメリカで活動を始め、IBREAを通して国連と協力し、様々な国際活動を行っています。また最近、弘益精神を世界の若者に広めるためにホワイトホールというインターネットメディアを支援しています。

私は人間性と弘益を教育の中心に置く学校を作ろうと思い、10年の準備期間を経て4年前にベンジャミン人間性英才学校を設立しました。この学校の名前は、アメリカ合衆国建国の父の1人であるベンジャミン・フランクリンからとったものです。彼は人生の目標を人格完成に置き、生涯、弘益を実践しながら生きた模範的な人物です。 ベンジャミン人間性英才学校には、校舎、教科授業を行う教師、教科書、宿題、テストがありません。代わりに様々な分野のメンター500名を持つ1年制の代替学校です。生徒が自分のやりたいチャレンジプロジェクトを1つ決め、それを完成させるのがこの学校の中心プログラムです。これをしながら、委縮していた子が自分の価値と自信を回復して堂々となったり、自己中心的だった子が人を配慮したり世話をしたりする子へと成長します。子供たちがこのように変わっていくのを見るたびに、私は人類には希望があると感じます。

弘益精神を持つ人が増えれば、地球と人類に新たな希望の道ができます。精神は精神では終わりません。精神が集まればエネルギーになって物質になるように、切に人類の未来を憂える心が集まれば、私たちは本当に偉大なことを成し遂げられます。このような私たちの努力が、新たな精神文明の創造へとつながることでしょう。

地球にあるすべての学校が地球市民を養成し、すべての家庭が地球市民を育てていかなければなりません。そして、すべての職場、社会団体、国家、国連、学問の目的が、美しい地球環境と人間性の回復、人類平和にあるべきです。個人的・利己的な意識を超え、人間と世界に役立つ地球市民を養成するという偉大で美しい意識の革命が2016年に起これば、人類の歴史に永遠に残る喜びとなり奇跡となるでしょう。多くの人が地球の未来と人類平和創造のためのこの歴史的な運動に参加してほしいと思います。そして、5年後の2020年には新たな地球村の姿が創造できることを願っています。

2016年2月
一指 李承憲