誠実と勤勉の象徴 ~丑年の今年は自分を愛そう~

2021年は丑(うし)年です。牛は「牛歩」という言葉に象徴されるように、のろのろと歩く動物。大地をふみしめて確実に前へ進みます。だから丑年は、「一歩ずつ着実に前に進む」が大事だと言われています。

 

「商いは牛のよだれ」という諺(ことわざ)があります。「やはり商売は地道に気長にやるに限る。細く長いよだれのように気長にしんぼうしよう」という先人たちの教訓です。

 

世の中には、苦労や失敗することがあっても、あきらめることなく努力を続け、夢を実現させる人がたくさんいます。ノーベル化学賞を受賞した根岸英一さんもその一人です。根岸さんはノーベル賞を受賞した年にこう語っています。「やってみてうまくいくかどうかは運だが、失敗に次の手を打てるかどうかは運ではない」。

 

大切なのは「積み重ね」です。黙々と目の前のやるべきことをこなしていくことが、将来の大きな成長・成功につながります。積み重ねの日々を支えてくれるのは、自愛の心でしょう。自分を愛し、自分自身に誠実に接する。たとえば、良い食事で自分の体を守り、良い睡眠で自分をいたわり、良い運動で心身を健やかにする。そうした行動の繰り返しが、やがて大きな飛躍をもたらしてくれます。

 

丑年は、地球愛を育むチャンスでもあります。かつて人間は、自然を敬う気持ちの象徴として牛をとらえていました。古代ギリシャには、牛の頭や角を豊饒のしるし、として敬う風習があったといいます。古代インドの主神インドラは雌牛でした。日本では昔、牛を「農宝」と呼んで重宝しました。

 

いまの地球は、温暖化や海洋汚染など深刻な問題を抱えています。これらの問題をこしらえたのは、ほかならぬ私たち人類です。だから問題を解決する主体も、人間しかありえません。一人ひとりが地球市民としての意識を目覚めさせ、行動するしかありません。

 

2020年、世界はコロナ渦により、国境を越えた渡航が大幅に制限されました。しかし、コロナという世界共通の危機に直面することで、国や民族を超えて心が団結しました。人類はひとつだと多くの人が実感できるようになりました。

 

また、宇宙の探査・研究が進み、宇宙への旅行が現実味を帯びてくるなかで、ますます地球という星への帰属意識が高まりつつあります。

地球を本来の姿に蘇らせる取り組みもまた「牛歩」にならざるを得ないかも知れません。節電も、こつこつとした積み重ねこそが、実は最も即効性があると言われています。節水、ゴミ拾いなど身近なことを地道に実践することは、地球再生に向けて避けられない道です。

 

ゴールが遠く感じられるときもあります。でも、いつも笑顔を忘れずにいましょう。明るく語り続けましょう。ネガティブな言葉を使うのでなく、グッドニュースを自分にも周りにも流していきましょう。元気に過ごせるように、自らの体・心・脳を主体的に管理(マネージ)しましょう。

 

あなたが健康で幸せなら、周りの人たちも地球も健康で幸せで平和になります。自分を愛することは、地球を愛することです。