地球にやさしい暮らし

深刻化する気候変動を少しでも抑えるために、地球にやさしい暮らしを実践しましょう。昔から受け継いでいる生活の知恵も、大きなヒントになります。近代化される前の日本人のライフスタイルには、化石燃料に頼らずに生きるためのノウハウが豊富にあります。現代における循環型社会を実現する上でモデルの一つになります。

秋の夜長、読書を楽しむ人も多いでしょう。現代は電気のおかげで夜でも明るいですが、古来、夜は暗いものでした。火の使用とともに、人類の生活は始まったとも言われています。

 

■明るさを持続させる知恵
電気もガスもないころ、人びとは植物や魚の油脂を燃料にして明かりを確保していました。松明(たいまつ)、篝火(かがりび)など原始的な照明を見ていると、原始の人びとが抱いた火への畏敬を感じることができます。

江戸時代、暗がりに明かりを灯(とも)すためには、灯明(とうみょう)皿に油を入れて灯心に火を灯したり、櫨(はぜ)からできた和ろうそくを使用しました。和ろうそくのろうは、ハゼの木の実から作られる植物性です。石油から生成するパラフィンのろうで作られた洋ろうそくに比べ、炎は消えにくく、すすも出にくいといいます。

ねずみをかたどった油つぼが付いた「ねずみ短檠(たんけい)」は、空気圧の差を利用して自動的に灯油を補給できるすぐれもの。明るさを持続させたいという先人の強い思いが伝わってきます。

日本には、サステイナブルな生活を送るための様々な知恵があります。夏の暑さをしのぐための打ち水、風鈴、簾(すだれ)も同様です。私たち現代人は「利便性」「効率性」を追い求めるあまり、こうした伝統を忘れがちです。

 

■住宅の「吹き抜け」
住宅建築にも、エコ的な知恵があります。例えば、和風住宅に見られる「吹き抜け」です。夏場の暑さを和らげるのに役立ちます。

箱庭の家は盆地の中にあって、周りに建物が建て込んでいるため、外部からの風が期待できません。そうなると、家の中で空気の流れを自らつくり出して涼しくすることが、猛暑をしのぐコツになります。

中庭と吹き抜け空間を使えば、空気の対流を起こすことができます。中庭に植えた木は、水を吸い上げて呼吸するため、周囲に涼しさをもたらします。

涼しい空気は、中庭と吹き抜けを区切るガラスの開口部の下部から室内に入り込み、吹き抜け空間を上がっていきます。上部には高窓がつくってあり、そこから空気が抜けていきます。

 

■京町家の工夫を現代に
こうした知恵や工夫は、京都の伝統的な町家などに顕著に見られます。京町家には、中庭と土間部分の吹き抜け空間があり、中庭に打ち水をすると縦方向の対流が起こり、室内が涼しくなります。近年では、その仕組みを現代建築に取り入れる動きが活発になっています。建て主の中には、エアコンをほとんど使わなくても過ごせると言う人もいるそうです。

地球温暖化に伴い、各地で猛暑が深刻になっています。夏の暑さを、エアコンを使わずに和らげることが、ますます重要になっていきます。昔から受け継いでいる暮らしの知恵に目を向けてみましょう。

 

■Eライフ
ECOでは、「私の健康が地球の健康だ」をテーマに、E(Earth citizen)ライフを推奨しています。「地球市民のゴミ減量:5R(ファイブアール)の実践」などです。

多くの人が地球を傷つけない方法で、自分たちの貴重な人生を維持したいと考えています。地球の環境破壊を食い止めるような行動をとるには、一人ひとりが「我慢」や「苦痛」をしなければならないと思われがちです。自分のやりたいことを我慢し、欲求を抑え込むことが、環境保護につながるという考え方です。

でも、「自分のやりたいこと」と「地球にとって良いこと」は、ほんとうに別なのでしょうか?あなたは地球と同じ種類のエネルギーで作られています。だから、地球上に生きるあなたの本当の目的は、常に地球の利益になるはずであり、最終的にすべての人の利益になるはずです。

ふだんの生活で様々な行動をするときも、その一つ一つが、自分の真の目的に合致しているかどうかをチェックしましょう。