SDGsと地球市民

地球の未来のために、世界各国が一致して定めた共通目標「SDGs」(エス・ディー・ジーズ、持続可能な開発目標)。国連に加盟する全193カ国が合意し、2030年の達成を目指しています。実現には市民一人ひとりの行動が欠かせません。

 

■貧困や環境破壊で地球が・・・
SDGsは、英語の「Sustainable(持続可能な)」、「Development(開発・発展)」、「Goals(目標)」の頭文字の組み合わせです。

猛暑や豪雨など異常気象が増え、貧富の格差も拡大するなか、このままでは地球が持たない、生活が続けられないという危機感から、SDGsが生まれました。「経済や社会の仕組みを変えないと、世界は持続不可能になる」という認識が土台になっています。

2015年9月に国連で「われわれの世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が合意・採択され、SDGsの目標が設定されました。

 

■169の具体的な目標
SDGsは「貧困をなくそう」「安全な水とトイレを世界中に」「気候変動に具体的な対策を」など17の項目で構成されます。これらの抽象的な項目の中に、計169の具体的な目標があり、「ターゲット」とも呼ばれています。

具体的な目標には、例えば「未処理排水の半減」「5歳未満児の予防可能な死亡を根絶」「妊産婦死亡率を10万人当たり70人未満に減らす」などがあります。このほか、「廃棄する食品を半分に減らす」など、私たちが身近にできることも数多く盛り込まれています。

 

■日本の取り組み
SDGsの採択を受けて、世界各国は様々な取り組みを行っています。

日本政府は2016年5月、総理大臣を本部長とする「SDGs推進本部」を立ち上げました。2021年12月に決定した具体的な施策集「SDGsアクションプラン2022」では、脱炭素社会の実現を目指す「クリーンエネルギー戦略」や「デジタル田園都市国家構想」の実現などが掲げられています。

また、2020年度から本格実施された新しい学習指導要領には「持続可能な社会の創り手の育成」が明記されました。これを受けて、小学校6年の社会科や理科の教科書にSDGsが載るようになりました。

 

■待ったなしの温暖化対策
SDGsと密接な関係にあるのが、気候変動対策の「パリ協定」です。SDGsと同じ2015年国連の会議で採択されました。先進国も途上国も、世界全体で温室効果ガスの排出削減に取り組み、産業革命以降の世界の平均気温の上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えることを目指しています。

これを受けて日本政府は2020年10月、2050年までに温室効果ガス排出量を、森林による吸収量などを差し引いて実質ゼロにするとの目標を設定しました。さらに2021年4月には、SDGsの目標年でもある2030年度に13年度と比べて排出量を46%削減するという目標を表明しました。

 

■市民の役割
SDGsの達成に向けてカギを握るのは市民の行動です。国や自治体任せでなく、「ボトムアップ」の考え方で、私たち一人ひとりが意識的にアクションを起こす必要があります。「節電する」「プラスチックごみを捨てない」「食品ロスを出さない」など、身近にできることはたくさんあります。

SDGsに取り組むと、自己肯定感が上がると言われています。自分の行動が誰かの助けになるという喜びや達成感を得られるからです。他人事ではなく自分事ととらえ、自発的に行動に移していきたいですね。

 

■ECOの取り組み
一般社団法人ECOもSDGsに取り組んでいます。ECOの主な活動分野は「健康」「教育」「自然環境」「人間性回復」「文化・アート」の5つです。いずれも、SDGsで掲げられた目標と深い関連があります。

ECOの活動の一つ「人間性回復」は、調和とバランスのとれた人間の本来の姿を取り戻すことです。人間性が回復すると、周りの人との関係が良くなり、自分だけでなく他の人の役に立ちたいという気持ちが強くなります。国家、人種、宗教、思想の境界を超え、地球市民として活動し、貢献できるようになります。「人や国の不平等をなくそう」「平和と公正をすべての人に」と謳うSDGsの精神とも一致します。