9月は暦の上では秋ですが、まだまだ暑いため引き続き注意が必要です。とりわけ猛暑だった今夏は、心も体も疲れ気味。涼しくなり始めたころに夏バテならぬ秋バテになる恐れがあります。今から、健康管理の再点検をしましょう。
今年の8月は、多くの地域で、気温が人の体温を何度も上回ることがありました。このような事態は、多くの日本人にとって、あまり経験したことがないことです。
戦後の日本で、労働衛生学の専門家として「夏バテ研究」をリードした故・三浦豊彦氏(労働科学研究所・元名誉研究員)は、猛暑が体に与える影響について、いち早く警鐘を鳴らした人として知られています。
三浦氏は、健康な日本人男性を対象に、さまざまな気温、湿度の条件下でいすに腰かけてもらい、体温がどう変化するかを観察しました。その結果、気温40度、湿度70~80%の場合だと、裸でも37度の体温が2時間で39度に上がりました。気温38度、薄着という条件では、37度の体温が90分で38.2度まで上昇しました。
本来、人体は暑くなると、汗をかいて呼吸が速くなって体温の上昇を抑えようとします。しかし、気温が40度近くになると、この「体温調節」の機能が十分に効かなくなるということです。
三浦氏はこのほか、日本人の汗腺は熱帯の人より約2割少ないという研究結果を発表しています。つまり日本人の多くは、熱帯のような気候に容易に対応できる体質ではない、ということが示唆されたのです。
21世紀になって、地球温暖化の傾向がさらに顕著になり、日本の夏は厳しさを増しています。健康で過ごすためには、工夫や知恵が必要になります。
東洋医学では、昔から季節や気候が健康に影響を及ぼすことが重視されてきました。高温多湿の日本の夏は、東洋医学でいう「湿熱」の季節。この湿熱を多く受けると寝苦しく、気が滅入り、胃腸の活動が弱まり、消化不良を起こすと言われています。
ブレイン瞑想の一種である「天門瞑想」には、暑さを乗り切るための東洋の知恵が生かされています。天門瞑想とは、頭の上に、本などの物を乗せて行う瞑想。「天門」は、頭頂部にある気エネルギーの通路のことです。
頭頂部に物を乗せると、乗せた物に意識が集中し、考えや感情から簡単に抜け出せるようになります。また、頭頂部は脳と近いので、ここに重みのある物を乗せるとすぐに脳に感覚刺激が伝わり、様々な変化が起こります。呼吸が深まり、心が楽になってリラックスできます。
天門から入ってきたエネルギーが体の中を下がっていき、下腹の丹田にたまるのをイメージしましょう。すると、下腹が温かくなり、エネルギーが充電されて気力が回復するのが感じられます。暑さで疲れた心と体も、リフレッシュしやすくなります。
やり方
1. 背すじを伸ばして座ります。
2. 少し重みがあって落としても割れない物を頭頂部に乗せます。
3. 手はひざの上に置きます。
4. この姿勢を維持しながら目を閉じ、しばらく瞑想します。
5. 頭に乗せていた物を下ろし、深呼吸します。