カーボンニュートラル

 

「カーボンニュートラル」とは、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするということです。CO2の排出量を極力減らすとともに、排出をせざるを得なかった分も、植林などによって吸収することでカバーします。

 

■温室効果ガス
地球は太陽光で温められ、赤外線を宇宙に放出することにより冷えます。二酸化炭素(CO2)やメタン、フロンなどは赤外線を吸収し、一部を地表に放射することで、地球の平均気温を保っています。

このため、これらのガスは「温室効果ガス」と呼ばれます。しかし、温室効果ガスが増えると、地表面からの赤外線を吸収し、下向きに放射する量が増えるため、地表の温度が上がってしまいます。

CO2の濃度は、植物や海とのやり取りで一定に保たれていましたが、18世紀の産業革命ごろから化石燃料の使用で急増し、平均気温が上昇してしまいました。

日本は2020年、菅義偉首相(当時)が所信表明で「わが国は2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわちカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言しました。その後政府は、2030 年度の温室効果ガス 46%削減、50 年のカーボンニュートラル実現という国際公約を掲げ、気候変動問題に対して国家を挙げて対応する強い決意を表明しました。

■ゴミを減らす
これまでの近代社会は、便利で快適な生活を求めて限りある資源を浪費し、地球上の自然資本を食いつぶし、惜しげもない使い捨てで処理不可能な量のゴミを出してきました。

いま求められているのは、(1)大量のゴミは出さない(2)利用可能な資源は回収する(3)回収した資源は有効に再利用する――という資源循環型のリサイクルの社会です。そこでは、生活者である市民の創意と協力が極めて重要な役割を担うことになります。

森林保護や植林も大切です。森林は二酸化炭素を減少させる役割を持ちます。世界の森林資源は減少の危機に直面してきましたが、これを食い止めるには、森林を育てる技術の継承が必要です。日本でも林業人口の減少や、コスト高の問題などで間伐などの取り組みが不十分で、荒れた山林が増えています。

■物質文明の限界
物質文明は大きな制約にぶつかっています。化石燃料を使いたい放題に使い、便利な世の中を作ってきました。食糧生産のための農地の劣化、森林や生物多様性の減少など、環境破壊はとどまるところを知りません。地球を守るためには、ライフスタイルを変えていかなければなりません。

省資源、省エネ、リサイクル社会を進めるためには、それを容易にするシステムづくりとともに、一人一人の市民の行動が重要になります。