ダイバーシティとコスモポリタン

ダイバーシティという言葉をよく耳にするようになりました。ダイバーシティとは、英語で「多様性」を意味します。性別、年齢、国籍などの枠を超え、異なる価値観や発想を互いに尊重し合い、創造力を生み出そうという考え方です。

ダイバーシティ促進活動は、1960年代の米国公民権運動から始まったと言われます。多民族社会の米国では、人種、性別、宗教などを理由とする雇用差別が禁止されるなど、国家的な取り組みが進み、ビジネス面でも企業が導入。有力企業のホームページには、その会社がどうダイバーシティに取り組んでいるかを説明するページが設けられています。

 

日本でも21世紀になって、大企業の人事管理部門が取り組むようになり、専門部署を立ち上げる動きが出ました。また、2005年施行の「次世代育成支援対策推進法」に基づき、子育て支援に積極的な企業に「くるみん」と呼ばれる認定マークを付与するなど、行政も後押ししています。

日本の場合、ダイバーシティが求められる経済的な事情として、少子高齢化が挙げられています。労働力の減少が始まり、育児や介護の問題を抱えた労働者や、高齢者などを活用しなければ、企業活動ができなくなるからです。また、消費者のニーズが多様化する中、人材が多様なら企業も多様な戦略が立てられる、という指摘もあります。

量の拡大を求めた高度成長期は、組織の同質性が効率化を追求する上で有利でしたが、今は質が高く個性的な商品やサービスが求められる時代です。多様な人材がいる組織が、そうした商品をつくる創造性を発揮できる、ということです。

 

とはいえ、大企業や役所に任せていては、真のダイバーシティの実現は難しいでし。より身近なコミュニティーにおいて、個々人の違いを個性としてとらえ、一人ひとりが生き生きと暮らし、地域社会に貢献できる。そんなダイナミックな社会が望まれます。

 

身近なところでダイバーシティが進めば、世界的にコスモポリタンが増えていくはずです。コスモポリタンとは、国籍などにはこだわらず、全世界を自国と考え、行動する人です。いわば「地球人」「世界人」です

コスモポリタンの育成というと、どうしても語学力や海外での仕事の経験が重視されがちですが、コスモポリタンの本質は、異なった人種、文化、価値観と向き合い、共存を図れることです。語学に堪能でなくても、あるいは素朴で口べたでも、心を開いて本音で意思疎通ができれば、立派なコスモポリタンになれます。

そもそもダイバーシティの概念は、生物学のエコシステム(生態系)に由来すると言われます。地球は多様性の宝庫です。アメーバやバクテリアといった微生物から、魚や動物や植物まで、141万種もの生物種が存在することで、地球全体のエコシステムが持続的かつ安定的になっています。

「私は地球市民だ」という自覚をもったコスモポリタンは、これまで自分のアイデンティティを形成してきた民族、宗教、思想、文化の限界を乗り越えることができます。それは、地球に生きる者としての本来の姿に戻ることでもあるのです。

 

 

 

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