2020年7月から全国で始まるレジ袋の有料化は、プラスチックによる環境汚染だけでなく、地球温暖化とも関係しています。
プラスチックを作る際には石油や天然ガスなどが原料となっているため、レジ袋を大幅に減らすことは二酸化炭素の排出削減につながることが期待されています。深刻化する地球温暖化を少しでも抑えるために、私たち一人ひとりができることを改めて考えましょう。
■原因
地球温暖化の原因は、二酸化炭素(CO2)など地球の温度を暖める「温室効果ガス」が増えたことにあります。
もともと温室効果ガスは、生き物が生存するために不可欠の存在です。温室効果ガスが全くないと、地球から出る赤外線が宇宙に逃げてしまい、地球が凍ってしまうからです。しかし、温室効果ガスが本来の量よりも増えると、必要以上に温度が上昇してしまいます。
18世紀後半に英国で始まった産業革命で石炭など化石燃料の使用が急に増え、CO2排出が増加したのが、地球温暖化の始まりとされています。
■現状
では、地球温暖化の状況はどのくらい進んでいるのでしょうか。
国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2018年秋に発表した「1・5度特別報告書」と「海洋・雪氷圏特別報告書」によると、産業革命前に比べてすでに気温は約1度上昇しました。
これによって、極端な大雨や寒波、干ばつなどの異常気象や氷の融解による海面上昇など、温暖化の影響と考えられる被害が起こっています。海面上昇はすでに、2006~2015年に年3・6ミリと、1901年~1990年の2・5倍の速さとなっています。
氷河や氷床の減少も深刻です。2006年から2015年までの間にグリーンランドの氷床は年間平均2780億トン、南極の氷床は年間平均1550億トンも減少しました。今世紀末の世界の漁獲量は、1986年~2005年と比べて最大24・1%減少すると予想されています。
■私たちにできること
温暖化の悪影響を小さくするには、早急に温室効果ガスの排出量を少なくするしかありません。レジ袋などの廃プラスチックを減らすことは、温室効果ガスを減らすために私たちができることの一つになります。
レジの袋削減には、マイバッグ(エコバッグ)や1度使ったレジ袋などを携帯する習慣を身に付けることが第一歩です。また、レジ袋の総量を減らすだけではなく、しっかりと分別排出または再利用をすることで、自然界に放出しないことも大事です。レジ袋は生産量と回収量に大きな開きがあるといいます。この差は、分別ごみやリサイクルとして回収されずに行き先が分からなくなった分だとされます。
レジ袋だけではありません。家の中を見渡してみても身の回りはプラスチックでできたものであふれています。食器、台所用品、お風呂の洗面器、シャンプーなどのボトルなどです。このうち、食べ物や飲み物の容器として使われるプラスチックは、ふだんの買い物で気をつけるだけで、大きく減らせます。ストローやスプーンなどはもらわず、ばら売りや紙パッケージに入っている商品を選びましょう。土に返る素材を使った容器や袋を選ぶことも大切です。
また、エアコンの設定温度も見直してみましょう。電気を使うことでもCO2を排出します。夏のピーク時に家庭で使用する電気量の約6割をエアコンが占めているそうです。フィルターをこまめに掃除して電力を無駄遣いしないエアコンの使い方を工夫するのもいいですね。
7月7日は、全国の企業や家庭で一斉に明かりを消す「クールアース・デー」です。地球のありがたみを、もう一度、かみしめる時間になることを願っています。