ECOが目指す教育とは?

日本の若者の「自己肯定感」は諸外国に比べて低いといわれています。後を絶たない自殺やいじめの問題に、今の教育に必要とされるものが模索されている今日。地球市民ムーブメントの中に教育分野があり、日本ベンジャミン人間性英才学校という15才~20才の子どもたちを対象とした1年制のオルタナティブスクールがあります。そのベンジャミン学校を卒業した私の息子を通し学校での活動や学び、成長体験などをご紹介させて頂きます。

 

日本ベンジャミン人間性英才学校での1年は、夢をかなえる1年とも言われています。と言っても始めは「まだ何をしたいかわからない」子がほとんどです。まずは自分探しから始まります。校舎・教科授業・テスト・成績表・宿題がありません。したがって毎日通うことはありません。初めの1カ月は一日中寝ていたり、思う存分ゲームしたり、親も子も戸惑い、違和感を感じながら過ごします。親にとっては子どもが自分から動き出すのを待つ時間です。早く動き出す子もいれば、夏休み頃まで何もしない子もいます。でもそれは外側に現れてきていないだけで、内面での変化は始まっているのです。息子は「やりたいことが見つかった時のために、体を鍛える事から始める」と決めました。

 

そして早速日韓合同徒歩プロジェクトに参加することになりました。韓国ベンジャミン学校の生徒と共に、前半は韓国の釜山からソウルまでの約227キロを、そして後半は日本の名古屋から東京までの158キロを21日間で歩くというものでした。企画のすべてを生徒がします。ほとんどの生徒が初対面。言葉の壁、習慣の違い。初めての国。不安、恐れ、足の痛み、冷たい雨、疲れ・・・恐らく今まで体験したことのない現実が何度も襲い掛かってきたことでしょう。27名の仲間が、励まし合い、助け合い、知恵を絞り、手を取り合う中で、自分の足で、体で、自分で考え自分の心で感じながら成し遂げた感動は、深く脳に、また細胞に刻み込まれ、何倍も大きくたくましく成長して帰ってきました。

 

そんな息子が嗚咽に声を詰まらせながら言ってくれた「ありがとう」は、私にとって生涯最高の宝となりました。そして、後に聞いたのですが彼らは地球市民として地球の上をしっかりと歩いたのです。携帯を使わない日、貧困の子供たちを思い食事制限した日。また、ペアになって目隠しした相手を安全に誘導する時間、公園でダンスを披露、また一般の方とハグをして地球市民活動を展開し、日韓の友好関係に少しでも役に立てたらいいなと考えていたとのことです。大人として少し恥ずかしい思いがしました。

 

全員無事にプロジェクトを達成した感想は、「選択すれば成し遂げられる!」と声をそろえて堂々と話ており、自分が成長した事を認め、自分を愛し、仲間を愛し、互いに成長した喜びを共にしていました。ここにベンジャミン学校の5徳である集中力・忍耐力・創造力・責任感・包容力が身についたと言えるのではないでしょうか。

 

息子が1期生を卒業する時に「中学の3年間は無駄に過ごしたと思っていたけれど、ベンジャミン学校のたった1年で本来の自分を取り戻せた。本当にありがとう」としっかりと話しました。他にも熊本震災ボランティアやニュージーランド瞑想キャンプ、ベンジャミンフェステバルなどの体験を通し、助けてもらっていた側から、助けてあげられる側になりたいと2年目2期生を選択しました。

 

次に、息子は「自分が大好きな音楽で自分も楽しく、みんなが楽しくなる時間が創れるDJをやってみたい」と一つの夢を見つけました。学校にはメンターというシステムがあり、それは生徒の夢を実現するために才能を寄付していただくというものです。生徒には担任講師がおり、脳教育BOS(Brain Operaiting System)の法則をつたえながら、メンターと生徒をつないだり、生徒を励ましたり、生徒とその夢に寄り添い実現と成長を手助けするようになっています。そのおかげで、DJステージの夢を5回実現することができました。地球市民の方々のつながりから[ZASSO]というプロのDJの方々の集まる大きなステージのプレステージを担当するチャンスもいただくことができました。

 

子どもの目がキラキラと輝き挑戦していく姿はとても頼もしいものです。自らの価値や存在意義を肯定できる心が育ったことであり、社会そして人類にとって大きな希望であると思います。すべての子どもを人間性英才へと育てる学校。それが日本ベンジャミン人間性英才学校であり、まさに今、求められる人間性教育の希望となるモデルと言えるのではないでしょうか。