タンカー油流出事故を受けて~ECOの取り組み

東シナ海で1月に起きたタンカーからの油流出事故によって、日本を含む周辺国への環境被害が懸念されています。

 

この事故は、中国の上海沖で1月6日に発生しました。タンカー(パナマ船籍)と貨物船(香港船籍)が衝突。タンカーはそのまま日本の排他的経済水域へと漂流し、1月14日に鹿児島・奄美大島の西約300キロで炎上、沈没しました。

 

タンカーに積まれていた「コンデンセート」という軽質原油が大量に流出。コンデンセートは人体に有毒とされるベンゼン、キシレン、トルエンなどを大量に含んでいます。積載量は11万トンで、大気中に放出されたり、燃えたりした一部を除き、大量に海に溶けだしました。

 

このほかタンカーには重油1900トンも積まれており、こちらも流出し、一部が鹿児島県と沖縄県の海岸に漂着しました。

 

事故後の1月15日付で発表されたグリーンピース・ジャパンの報告書によると、タンカーが沈没した地域は、ウマヅラハギやケンサキイカなどの魚の産卵場所だったといいます。タチウオ、キグチ、マサバ、ワタリガニも越冬地として利用しているほか、クジラの移動経路にもなっています。

 

油の流出により、福岡や韓国の済州島をはじめ日韓両国に汚染や健康被害をもたらす恐れがあると指摘されています。韓国の民間シンクタンク、地球経営研究院のエマニュエル・パストリッチ院長は3月2日に中央日報に寄稿したコラムで「韓国と日本が急いで対策を用意しなければ数十万人の人々が汚染された水産物と水によって健康上の深刻な危険に直面する可能性がある」と警鐘を鳴らしました。

 

日本の環境省は3月13日、沖縄周辺や南九州沿岸などで2月下旬に実施した水質検査では、環境基準値を超える汚染は見当たらなかったと発表しています。

 

もしこのまま大きな被害が出なかったとしても、同じような海洋事故は今後も発生する危険性があります。地球経営研究院のパストリッチ院長は、日韓両国政府で共同対応プログラムをつくり、「大気汚染をはじめとする東アジア地域の他の環境問題に対する協力に拡大する契機」にすべきだとしています。「海洋事故の危険性に対する予測と、それにともなう航海統制方法の改善」に取り組むとともに、政府だけでなく「大学・研究機関・非政府機構(NGO)・市民間の協力を強化して組織化する」ことの必要性も説いています。

 

一般社団法人ECOでは今後、地球経営研究院の提案を実現すべく、同研究院とともにアクションを起こしていく予定です。