【地球アレコレ3】インド 誤解でも何でも~

 

日本で言う「イギリス」は、鎖国時代に長崎・出島を通して付き合いのあったポルトガル人たちの話すポルトガル語「エゲレス」から来ています。
ではポルトガル語でエゲレスはどこを指すかと言えば、イングランドのことです。
日本でいうイギリスは、イングランド・ウェールズ・スコットランド・北アイルランドまでを含めて指すことが多いのですが、その場合一般的には、ユナイテッ ド・キングダム(U.K)と言われます。連合王国、です。ナントカ藩とカントカ藩とXX藩が、それぞれの領主とは別に一人の王の元で連合して作った国、と 想像すればいいでしょうか。

 

さて、その連合王国。日本と似たような国土面積で、しかも島国。お互いユーラシア大陸の東西の端にあって、湿気も多い、まあ似たような環境ですけれ ど、かたや陽の沈まぬ国と例えられたほど、世界中に出ていき植民地化を強烈に進め、かたやその頃、ひたすら平和に徳川家15世代にも及ぶ鎖国のなかで過ご してきた国。なかなかユニークな対比です。

 

さて、植民地化を進められた国のなかに、インドもありました。インドの公用語に今でも
英語がありますし、イギリスの影響を受けた建築物も数多く残っています。残っているというか現役で活躍しています。インドがイギリスから独立したのは1947年、まだ67年前です。
なので、植民地支配を覚えているご高齢者たちも多いのです。

 

とだいぶ話しが広がりましたが、ここから本題。
インド発 イギリス経由、日本着~ の代表格といえば? 今や国民食といってもいいくらいになった、あの黄色いトロっとした。。。 ハイ、カレーですね。明治時代から主に海軍の食事で取り入れられて、広がっていったそうな。
そのカレー、もう多くの方の知るところですが、インドにはありません。そう呼ばれる料理が無いのです。インド各地で言語も異なるので、サーグ、サンバー ル、コルマ、ダールなどと呼ばれています。カリーという英語の由来も諸説あり、インドの多くの言語の、どこからどう派生したのか、定かではないようです。

 

と もあれ、イギリス人たちがスパイスの効いた具入りトロトロの液体を、まとめてカリー(curry)と呼び、それが世界に広がりました。インドにはない、 ビーフカレー・カレールーなどもアレンジされ、リンゴとハチミツとろーりとろけたりして、そしてインド人がそれを日本のカレー料理として美味しそうに食べ たりしています。ココイチ、美味しいね!そういうインドの方も多いです。こちらは、へええ、と思いながら、つまり、アボガドのお寿司、カルフォルニアロー ルを、美味しいね! と食べるようなものか、と思ったりします。

 

インドのカレー、イギリスと連合王国に限らず、勘違い・思い違いで広がってしまった言葉や習慣は、世界中にあるでしょう。「アメリカにもマクドナルドあるんだね」なんて話しも無数にあります。
それらは笑い話であって、その国や地域で愛されている何かであればいいだけかもしれません。
変なカレーがあってもいいし、ヘンテコリンなお寿司があってもいい。インド人や日本人が新たな食べ物としてそれらを楽しんでいれば、何の問題もありませ ん。勘違いを正そうとするのではなく、または誤解の根源を探して睨み合うのではなく、ただそれぞれを尊重しながら、自らの人生を楽しく過ごす、それは難し いことでしょうか。もし複雑に絡まった糸があるなら、それを一生懸命ほぐすより、新しい糸作りに精をだすように。
インドの人々が、かつて苛烈に搾取を繰り返した旧宗主国イギリスに対して、驚くほど寛容というか無関心なことを感じながら、こうして過去に囚われることなく、子供たちが希望を持てる地球全体であるように、と思わず祈ってしまいます。

 

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