【地球アレコレ17】 ベトナム7

人間関係の基礎となる、親子関係。
俯瞰で見れば世界どこの国でも似たようなものでしょうが、近づいてみると結構お国柄があったりします。それで親子関係がそのまま、人対人、国対国の関係を形作っているとも言えそうです。

その親子関係、対面を重んじる国では、自宅から外出している状態で自然な親子の姿を見ることは難しいです。周りを気にしたり礼節を守ったりして、生の雰囲気はあまり出てきません。その代わり、街は賑やか過ぎることもなく落ち着いた感じになって、外出で神経を擦り減らすことが少なくなります。
これまでたくさん触れてきましたが、日本の ― 特に東部では、そうした感じが顕著にあるようです。それもまた良い悪いではなく、一つの特徴としてユニークです。

で、ベトナム。特に南部では、親子関係の自然な姿も何も、熱帯ゆえの開放性もあるのでしょうが、色々なところで親子の生の感じを見ることができます。南北に長いベトナムでは、大きく北部、中部、南部があり、人間性もそれぞれ微妙に異なるようですし、気候も大きく異なります。南部は暑さが激しいこともあって、とても開放的です。
親子の触れ合い、親子での歩き方、夫婦でどんな比重で子供をみているか、どのように手を繋いでいるか、どのように乳を飲ませたり食べさせたりするか、そうした諸々の行動に滲み出る愛情表現のお国柄が、とても楽しくもあり豊かな心にさせてくれたりもします。実はそんなことを見るのが、旅の一番楽しい部分かもしれません。

ベトナムは大乗仏教系の宗教が多く、中国の影響を多く受けてきた国でもありますので、親子の全般的な感じは日本とそう遠くないと言えるでしょう。しばしばアングロサクソン系の国を喩えて言われるような、まず夫婦があって親子があるという関係より、親子がハッキリ中心にあります。夫婦の雰囲気、子供の世話をする比率も日本とそれほど変わりない感じです。敢えて違いを探せば、男性はより自由奔放というか適当な感じで、女性はより逞しく堂々としている、でしょうか。まあこれは東南アジア一帯で共通していることかもしれませんが。女性の逞しさはベトナム編の1と2でもお伝えした通りです。

写真はベトナムの湘南と言えばいいでしょうか。大都市ホーチミンから車で2時間ほどの距離にある、都市生活者の手軽なリゾート地での一コマ。近くに住む人々もぶらぶらと家族や友達連れで来ては、ひとしきりノンビリしていきます。乳児のいるグループでは、周りの大人の意識がその乳児に向いているのが伝わってきます。親子関係とともに周囲の人々とどう付き合うのかも、自然と学んでいくのでしょう。特に父母と子だけ、というグループは少なく、一つのグループはだいたい8~10人くらい、どんな関係なのかまでは分かりませんが、言葉の通じない旅人も自然と手招きでお茶に呼んだりするところから推測すると、近所の人、ちょっと遊びにきていた親戚の親戚、友達の友達、そんな人々がふらりと集まっている感じかもしれません。

そして、乳児は親子関係を超えて周囲の人間関係に対しても、構えたり怯えたりすることもなく学校に行きはじめます。しばしば、日本からの旅人やボランティアの人々が東南アジア圏の子供たちの瞳がキラキラしていることに魅せられたという文章に出会いますが、さもありなん、です。

では日本はどうか、などと言うことではなく、大事なことは親子関係のもっと奥にある自分との関係でしょう。自分で自分をどう見ているか、どう感じているか、それが赤ちゃんに決定的に伝わって、その子も自分で自分を、親がするように見て、感じて、判断していくでしょう。自分との関係はどこの国でもあまり良好でないので、今の地球全体の歪み、歪(いびつ)な形があります。でも私たちはみんな、親から、母親から、溢れるほどの愛もまた、受け取ってきたのでしょう。何せとても不安で苦しい思いをしてまで、産んでくれたのですから。

Change、いつも自分の心と身体の関係から!

 

 

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