【地球アレコレ11】 ベトナム1

 

ショッピング、という言葉は、楽しみながら買うときに使われるように思います。
他方、買い物という言葉は、毎日の暮らしの一部として、雑貨や食料品の購入に使われることが多いようです。

 
今はイオングループの連結子会社となったダイエーは、創業者の中内 功氏が1957年に主婦の友ダイエーを開店したときから、“流通に革命を起こそう”という意気込みがあったそうです。その志のままに破竹の勢いで売上も店舗も拡大させ、食料品も含めた【モノの流れ】を劇的に変えてきました。小規模販売から大規模販売、それに見合う大規模生産、大規模農法など。スーパーなどはモノを売る所から、楽しさや明るいイメージを売る所になり、世界的な潮流もあって様々な生活雑貨は【安く】なりました。
買い物からショッピングへと消費者心理を変えていったと言えるかもしれません。

 
こんな動きが世界各地で起こって、物流はどんどん変わった・・・、
というのが発展した国、先進国と呼ばれたところの共通した動きかもしれませんが、そしてゴミ処理に悩み、不法投棄に悩み、公害に悩み、ということも共通して発生していますね。

 
さて、ベトナムは世界有数の農業国です。国内に肥沃な三角州が二つ(メコンデルタと紅河デルタ)があって、食料自給率は160%にもなります。世界的な動きに組み込まれていない小規模流通が普通にあり、食べ物は溢れていると言えます。
そんなベトナムでの【買い物】風景は、いわゆる先進国で商売が発達してから近代になるまで続いた風景です。買い物袋やカゴを持参して、そこに購入した食料品を入れ込む、という日本でも40年~50年前までは普通だったスタイル。(今は、特にベトナム都市部では相当変化したでしょうけれど)

 
収穫したばかりの新鮮な野菜が並ぶ市場で品定めをしながら、ときには値切ったりしつつ購入し、おもむろに持参したカゴやビニール袋に入れていく奥様方。その佇まいは堂々としていて、風格さえあります。買い物にも道があるとすれば、まさに買い物道の黒帯の猛者たち、という感じです。もちろん売り手も猛者ぞろいですが。
奥様方は、急ぐことなく落ち着いて、でも目はプロの的確さをもって、買い物を済ませていきます。そして、慌てず騒がず自転車にまたがり、我先ということもなくでもうまく流れに乗って、家路へつきます。そうした光景は、全体としてとても美しく、ときには神々しくさえ感じます。生きていくことに迷いのない、揺るぎない生活習慣でもあるでしょうし、『だから何?』という当たり前の日常でもあるでしょう。
一言でいえば、ムダのなさ。過度の緊張や不安もなく、動作や動線にムダがありません。大地に根の張った感じ、といえばいいでしょうか。もちろんどこの国でもいろいろな人がいますが、ベトナムの南部では特に、堂々とした自然な動きで買い物をする人々が目につくのでした。

 
さて、前述の通り、ショッピングではなく買い物道を極めた人々からは、とにかくゴミが発生しません。そして、生ゴミという発想も極度に薄く、食べられない部分は、南国特有の暑さで分解されるか、街をうろつく動物や虫が食べて終わりです。
南国の虫、といえばゴキ・・。もちろん買い物道、というか生活道のマスター奥様達は、まるでそこに黒い物体が無いかのごとく振る舞います。病気の心配?それよりも内臓を強くし、おしゃべりをエンジョイすることにエネルギーを注ぐでしょう。

 
エネルギーを生活にコツコツと注いでいるのは、主に経済的理由で他にできることがないから、かもしれませんし違うのかもしれませんが、何かにエネルギーを向ければ向けるほど、そこが充実するものだと改めて感じさせます。
エネルギーをどこに向けるのか、公害病や今はフクシマの原発事故を経て、私たちの社会はどこに行きたいのか、改めて振り返るときです。そのためにこそ、まず個々がどこに行きたいのかを明確に選択し、そこにエネルギーを向けていきたいものです。古に帰ることでも最先端を先取りすることでもなく、まずはチェンジユアエナジー!!! 新しい価値観、新しい文化を創造していきましょう!

 

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