【地球アレコレ10】 マレーシア3

 

海南鶏飯として良く知られるチキンライス。
マレーシアでは最も一般的なご飯の一つです。
チキンを一羽まるごと茹でて、その出汁で炊いたご飯の上に茹でたチキンを適当にスライスして盛り、そこにタレをかけます。チキンの香りがほのかにするご飯と香辛料の効いたタレの香りが協奏曲になり、そのお皿のスミに適当な生野菜が添えられます。ご飯はいわゆるインディカ米、長粒種で、南国によく合います。

シンガポールが有名ですが、マレーシアでも普通に良く食べられます。マレーシアでは、ナシ・アヤン。ナシ=ごはん、アヤン=鶏という覚えやすさもあって、各国からの旅行者も安心して食べている一つでしょう。
さて、このナシ・アヤンに限らず、写真のような屋台を店先に出して売る店がかなりの田舎にいってもあります。店先というか、店奥は家族たちの休息スペースだったり下ごしらえのスペースだったり。むしろ屋台に近い感じです。
客が奥で食べたければお好きにどうぞ、外で食べたきゃミニ椅子とミニテーブルがあるよ、という気安さ。

 

マレーシアだけでなく広く東南アジア全体で、これに近いスタイルがあります。
その背景には、一般住居はキッチンを重視せず、こうした店で買って家に持ち帰り、そこで皿に移して食べることが多くあります。家庭で料理を作ることもありますが、買ってきたものを食べることが多いようです。

 

また、ナシ・アヤンがマレーシアで広がった理由の一つは宗教的なことがあるでしょう。
中華系(華僑)の人々は何でもOKですが、イスラムの人々は豚を食べず、ヒンズーの人々は牛を食べず、宗教混在の地では鶏が中心になります。日本では馴染みの薄い羊やヤギもありますが、マレーシアでは気候が合いません。そこで鶏肉が自然に発達します。

 

それと、前述したとおり、家庭料理という観念が薄いことがあります。
或いは、街全体が一つの大きな家庭、と思えばいいでしょうか。家族何人かに一人料理人がいる、というイメージ。「そんなに外食ばかりしてお金が…」という心配もあまりありません。家族間同士のやり取りなので、小さなやり取りなのです。例えば、原価100円のものを180円で売る、くらいの感覚です。資本主義がガッチリと根付いている国(日本も含め)では原価の3~10倍で売りますし、基本的に発展・拡大を考えるチェーン店が多いので、儲けることが第一かもしれません。それに比べたら安いのは当然で、儲けが中心ではなくいうなれば家族のための料理を作って手間賃を受け取っている、くらいの感じでしょう。また家族のための毎日の食べ物ですので、特別に美味しくということもない代わりに、手を抜いたり生産性・効率を優先して、ということもありません。

 

でも、この社会に車が入ってきたら、国際的マーケットのある商品が入ってきたら?
それらは国家間の値段が大差なく、つまり小さなマーケットで簡単に済ませている人々にとっては、とても高価なもの、となります。
どちらが良いか、ということではなく、大きなマーケットに呑まれていくことで、小さなマーケットには手間賃ではなくいかに純利益を多くするか、という発想が染み込みつつ、そんなことはできないというジレンマが生じ、でもでも車は欲しいし、でも買えないし、つまり貧しい、という観点が出来てしまいます。

 

全世界を覆う意識、集合無意識的な心のエネルギーは、貧富の差、先進国と後進国、
というように区別しています。そんなエネルギーが重くのしかかっている今、私たちは地球を覆う大きなエネルギーの、大きな変化を必要としています。

 

ところで、このナシ・アヤン、料理人の淡々としたエネルギーが自然の味わいをつくるのでしょうけれど、でもシミジミ美味しかったです。

 

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