第9回『未病治』

 

あるCMで有名になった東洋医学の特徴である『未病治』について。

以前は『未病』という日本語はなかったそうです。
もともとは、東洋医学においての言葉で、『検査を受けても異常が見つからず病気と診断されないが、健康ともいえない状態のことで、放置すると病気になるだろうと予測される状態をいう場合が多い』そうです。

前回も引用した、中国の2000年以上前の古典『黄帝内経』に、

「道理に明るい人は、病気になってから治療方法を講ずるのではなくして、
まだ病いにならないうちに予防する。
国家を治めるのと同じように、騒乱が起こってから、
これを治める方法を研究するのではなくして、
騒乱が発生する前に、未然にこれを防ぐのである。
仮に疾病がすでに発生してしまってから治療したり、
戦乱がすでに起こってから平定するというのであれば、(中略)
それでは、あまりにも遅すぎるのではなかろうか」
(『黄帝内経・素問』四気調神大論編2 P.57・東洋学術出版社)

 

とあります。
耳の痛い方も多いのではないでしょうか?

 

『黄帝内経』には、養生についての記述も多いです。
精神の修養、飲食と生活の調節、環境と気候への適応、肉体の鍛錬などといった具体的な養生法が記されています。

また、別の古典『難経』には、

「上工は未病を治し、中工は已病を治す」ともあります。

養生を通して、病気にならないように生活していくこと。
医者はそれを助けるが、養生するのは本人。

東洋医学の『未病治』。
自分を律して、自分を管理すること。
東洋医学は、“脳の主人”を目指していたんですね~。

 

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