第7回『病因論2 内因』

 

前回、お話しした病因をもう少し詳しくお話します。

 

ちょっと順番が逆にはなりますが、今日は『内因』について。
結局、現代的にいうと、心因性の原因のこと。

東洋医学では、過度な感情や長期的に続く感情が病気を作ることがあると古くから考えていました。喜、怒、憂、思、悲、恐、驚の七つの感情が、正常な活動範囲内を越えた時、生理的に調整できなくなって病気を生む原因になります。

 

○喜
喜びが病気の原因になると、ちょっと考えにくいですよね。でも、ロックのコンサートなど黄色い悲鳴をあげて熱狂しているファンが失神すること、ありますよね。あまりに嬉しすぎて興奮しすぎると気を消耗して、心の病気を引き起こすことがあります。

 

○怒
これはあまり説明がいらないかと思いますが、東洋医学的には怒ると気が逆上して、過度になると肝を傷つけるとされています。

 

○憂
心が沈み鬱々して楽しまないことをいいます。鬱の度が過ぎると気がのびず縮み、気をつかさどる肺が傷つけられるといわれます。

 

○思
意志の力で考えることを思といい、度が過ぎると、脾を傷つけるといわれます。

 

○悲
悲は哀切や苦しさから生まれ、気が消えて肺が傷つけられます。

 

○恐
恐れると気が下降します(例:腰がぬける)。恐怖心は精神が極度の緊張で起こります。外界の刺激で起こるものが多いですが、腎気や血気が不足していたり、精神的に不安定な人が起こしやすい。また、逆に恐れると腎が傷つけられます。

 

○驚
不意にある局面にぶつかって精神に極度の緊張が起こることをいい、気が乱れます。感情が不安定になり、腎が傷つけられます。

 

どれも日常で普通におこる感情。決して、感情があらわれるのが悪いことではありません。自然なことです。
また、同じことが起こっても、その感情の与える影響も、一様ではありません。
その時の状態によっても、影響が異なります。
自分の状態がいいときは、許容範囲が広がります。
些細なことでも、状態が悪い時は、許容できなくなります。

結局は、その感情を受け入れられる自分の許容量の差で病気になるか、ならないかが決まってきます。
自分の許容量が丹田力ともいえると思います。

 

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