【地球アレコレ4】ネパール 1

 

極北に住む人々もいれば、灼熱の砂漠に住む人々もいます。
野菜?何それ?… そんな極端な環境でも人は適応し、そこで何かしらの文化を培ってきました。

 

世界で最も高地に住む人々といえば、ネパールのシェルパ族でしょう。
盆地になっている首都のカトマンズこそ標高は1300mほどですが、周囲はすぐに富士山並の世界です。山岳地帯なので平野がなく、山あいにポツポツと点在する小集落で暮らしています。
4000mを超える場所でも通年の集落があり、5000m以上も珍しくありません。

 

日本では、標高2000mを超えると高山病注意と言われます。酸素濃度は平地の80%、
ちょっとした運動でもすぐに息があがり、低気圧と酸欠で頭痛を訴える人が増えてきます。富士山は3776m、しばしばゆっくり登れ、と言われますね。

 

写 真は、点在するシェルパ族の集落としては大きい部類に入る、タンボチェというところ。標高は3900m。この村の一番大きな建物はゴンパ(僧院)です。 (写真右下)もう森林限界を超えているので、森はありません。が、ゴンパは太い樹の柱をたくさん使っています。太い樹木は2000mくらいまでしかないの で、そこから運んだのでしょう。

 

酸素濃度が薄くても、身体は適応していきます。野菜や果物の極度に少ない食事でも、内臓は 適応していきます。そして、生きること・サバイバル以外のことを何かしらしてきました。それが文化と呼ばれることかもしれません。このゴンパも、わざわざ サバイバルで精一杯な土地に、丁寧に組み上げられ、内部は壮麗な壁画が天井にまで描かれています。何百年も前にそれを創った人々がいて、人々を動かした心 があり、現代まで営々と僧が祈り、何百年もそれを支え続けてきた人々。

 

第二次世界大戦以降、多くの観光客が訪れるようになり、寄付などの現金収入がある
とはいえ、その前までに造られ、描かれ、運営されてきたのも事実です。

 

人間はどこにいても、創造したい、何かを為したい、食うための仕事をして寝るだけでは、心の渇きが治まらず、それが例え極北でも砂漠でも高地でも、その環境に合わせて、“遊び”を作ってきました。生き延びること以外のことを。

 

地球という環境で、地球人という意識で、現代人も同じように、心の渇きがあるように思えます。何かを為したい、けれど目の前のことで忙しい。遊びはたくさんあるのに、創造につながらず、消費するだけ。
でも、酸素濃度が低くても、緻密な技術と文化を生み出し、伝承されていたように、世界はきっと、新しい文化を創造していけるでしょう。大きな意味での新しい遊び、一人ひとりの本当の価値を実現していくために。

 

 

 

 

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