シナプスから抜け出そう

あなたは友だちが多いほうでしょうか? だれかと友だちになるというのは、その人のいろんな面をありのまま受け入れるということです。理性では理解できないことも、ありのまま受け入れると心がオープンになり、心の交流が起こりはじめます。このときに起こる現象は何でしょうか?

 

家庭環境や人生経験は人それぞれに異なりますので、その差が大きいほど、お互いを理解するのが難しくなります。国際脳教育総合大学院大学脳教育学科のヤン・ヒョンジョン教授によると、それは脳の中にある神経細胞のネットワークが異なるからです。「常識」というネットワークが異なり、価値判断の神経ネットワーク、食習慣や話す習慣の神経ネットワークが違うのです。

 

だから、相手をあるがまま受け入れるというのは、相手の神経ネットワークを認めることなのです。それはその人が生きてきた人生を認めることで、存在価値を認めることになります。そして、心がオープンになって真の交流ができる環境になることもあります。

 

ヤン教授は、脳の中にどんな回路があるかを取り出して相手に見せられたら、どんなにいいかと思うことがあるそうです。携帯用のプロジェクターをポケットに入れて持ち歩き、お互いボタンを押すと脳の中の回路が見えるのです。そうすると、Aという入力情報に対して相手の反応がB~Zまで出てくる理由を互いに誤解なく知ることができるようになります。自分と違う意見を持っている相手に対して、そのような意見を持つようになった背景を理解することができるのです。このような脳の理解は、私たちが考える「脳そのもの」ではなく「脳のあるじ」であり、脳は私たちが使う「ツール」なのだという認識をもたらすようになるはずだと、ヤン教授は言います。

 

この脳のシナプスが、私たちの人生を意のままにあやつっています。私たちは遺伝的背景や環境的背景の影響で作られた脳内の神経細胞ネットワークの中に閉じ込められているのです。この脳から少し離れてみませんか?

 

自分と楽しく遊んでみましょう。目を閉じて吸う息や吐く息を感じたり、心臓の鼓動を感じたり、体を感じてみましょう。座っている自分の体を、心の目で前から眺め、横から眺め、後ろから眺め、上から眺めてみましょう。まるでテレビドラマに出てくる人物を見るように、眺めてみましょう。そして、その人物の頭の中にある脳を見てみましょう。

 

脳の中に100~500兆個のシナプス結合があります。電気信号が行き交いながら、瞬間的な判断、感情、行動、思考を決めるシナプス結合を脳の外側と体の外側から眺めていると、ふと、人間はシナプス結合に決められる存在ではないという気がしてきます。社会と文化、私たちの経験が作った被害や否定のシナプスに閉じ込められて生きるには、この地球上の人生はとても大切で価値があります。シナプスから抜け出しましょう。

 

自分のシナプスを変えるには、シナプスを眺められる必要があります。だから自分の脳に「私は脳の主だ」と伝え、脳に「私はこの方向に進みたいから、そのように作動しなさい」と教えなければなりません。これが脳教育の脳のオペレーティングシステムBOS(Brain Operating System)です。

 

脳のシナプスを変えるにはどのくらいの時間がかかるのでしょうか? ロンドン大学で96人のボランティアを対象に調査した結果、新たな習慣を作るのに18~254日がかかったそうです。人によって3週間から9カ月かかるということです。自分の脳を訓練する新しい習慣をスタートするなら、10カ月間は挑戦してみることをお勧めします。そして、脳の主になりましょう!

 

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